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2017年07月23日

パラダイス・キス 天使なんかじゃない 矢沢あい

パラダイス・キス

矢沢あい

人より小さい顔と人より少しだけ長い手足が誰かの役に立つのならばと、無理に進学校の優等生を演じ続けていた早坂紫はモデルの誘いを引き受けます。変人ばかりが集まっているという矢澤芸術学院の面々を手伝ってドレスの制作をしたり、紅一点の実和子と仲良くなって恋バナをしたりしているうちに、狭かった自分の世界が広がっていくような気持ちを味わう紫。ドレスのデザイナーであるクセ者の小泉譲二と恋に堕ちて、紫は初めての恋愛に溺れていきます。

譲二は紫のことを想っていますが、自分の恋人にも自分の足で立ってほしいと思うタイプの男性なので紫に厳しい一面があります。不満ばかりもらしながらも周りの決断に従うばかりだった紫にとって、譲二は愛しい恋人でもあって、自分の足で動き出せと叱ってくれる教師のような存在でもあったのでしょうね。もっと優しくしてくれてもいいじゃないのと、譲二が憎らしくなります。そんな厳しい譲二が、学園祭のショーで譲二たちの作ったドレスを着て見事に歩き切った紫を褒めるシーンは、本を握るこちらの手もようやく緩むほどホっとさせられます。

高校生たちの恋愛というには深くて大人の雰囲気が、ジワっと感動を生む作品です。



作者:矢沢あい
出版社:祥伝社
掲載誌:Zipper
連載開始:1999年5月
巻数:全5巻




天使なんかじゃない

矢沢あい

明るく大きな口で笑うみんなの人気者、冴島翠は創設したばかりの私立聖学園の第一期生徒会副会長に任命されます。生徒会長になったのは、密かに気になっていたリーゼントの男子生徒、須藤晃です。やがて付き合いだす2人ですが、晃の心に誰か他の女性が見え隠れして、不安に押しつぶされそうになる翠。親友と呼べるほど仲良くなった麻宮裕子(マミリン)や優男の瀧川秀一(タキガワマン)にも励まされますが、少しずつ複雑な事情を抱えた晃と付き合っていくのが苦しくなります。

たしかに晃には翠の他にも大切な女性がいますが、それは翠への気持ちとは別物。でも他の女性に強く心を奪われるのがつらいという翠の気持ちもよくわかりますよね。この作品で泣かせるのは翠と晃の恋だけではないんです。なによりポイントはマミリンの翠への友情。はじめは翠を嫌っていたマミリンといつの間にか親友になっていて、そのマミリンが翠のためにホコリまみれになって奮闘するシーンがあります。泣き笑いしながら翠の幸せを願うマミリンの気持ちに、胸がわしづかみされるような気持ちにさせられます。マミリンのタキガワマンへの、長く秘めた恋心にも注目していただきたい良作です。



作者:矢沢あい
出版社:集英社
掲載誌:りぼん
連載開始:1991年9月
巻数:全8巻(単行本)




posted by 2020 tokyo at 11:39| エンタメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

溺れるナイフ ジョージ朝倉

溺れるナイフ 

ジョージ朝倉


美しい容姿を持つ望月夏芽(もちづきなつめ)は小学生ながらモデルとして活躍していました。しかし両親の都合で東京を離れ、辺鄙な田舎町である浮雲町へとやってきます。そこで出会ったのが「神さん」のような全能感に溢れた少年、長谷川航一郎ことコウちゃん。お互いに惹かれあい、中学1年になると付き合い始めます。しかし夏の火付け祭りでストーカーに攫われ、被害を受ける夏芽。そこからコウちゃんとの関係は壊れ始めます。やがて小学生のときから何とも思っていなかったはずの大友勝利と恋に堕ちます。



小学生のコウちゃんに全てを求めすぎた夏芽は、心酔していたコウちゃんに勝手に失望して恋心すら無くしてしまいます。残ったのはコウちゃんとのぎこちない関係だけ。幼すぎる恋にもどかしさを覚えます。次に恋した大友は明るく誰にでも好かれる気持ちのいい男の子でした。大友との恋はキラキラ輝いて、まさに青春そのものだと思います。大友が夏芽に寄せる恋心が痛いほど伝わってきました。しかし夏芽は運命ともいうべき強い流れに巻き込まれていきます。読み終わったあとも作品の世界から気持ちが抜け出せないほどに心が締め付けられます。この作品の読者たちは、コウちゃん派と大友派に激しく2分していたようです。


作者:ジョージ朝倉
出版社:講談社
掲載誌:別冊フレンド
連載開始:2004年11月
巻数:17巻完結





ラベル:溺れるナイフ
posted by 2020 tokyo at 11:36| エンタメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

四月は君の嘘 新川直司



四月は君の嘘 

新川直司

音楽教室を開いていた母によって英才教育を施されてきた有馬公正(ありまこうせい)のピアノは正確で、数々のコンクールで優勝する腕前でした。しかし、母の死をきっかけに、集中するほどに自分の音が聞こえなくなるというハンデを負ってピアノを捨てます。14歳の春、公正の前に現れたのはヴァイオリニストの宮園かをり。かをりは公正の世界に色を取り戻し、記憶の中の母の呪縛から解き放ってくれたのです。しかしかをりは体調を崩し、やがて学校にも姿を見せないようになります。

かをりは気が強い子で、過去に捕らわれている公正の手を引っ張ってくれます。色鮮やかな世界へ連れ戻してくれたかをりに、公正が心惹かれるのは自然の流れ。かをりは幼い頃の自分に火を付けた演奏をずっと心に抱いていて、公正にもう1度ピアノの世界に戻ってほしいと強く願っています。体調を崩して入院しても、弱音を吐かずにいるかをりが切ないです。度重なる体調不良の後、「心中しよう」というかをりの心のうちはどんなものだったのだろうかと想像すると涙が止まりません。公正にはかをりのためにもピアノで再起してほしいし、かをりには公正のために健康になってほしい。2人の恋と将来から目の離せない作品です。



作者: 新川直司
出版社:講談社
掲載誌:月刊少年マガジン
連載開始:2011年5月
巻数:全11巻




posted by 2020 tokyo at 11:33| アニメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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